糖質制限体験記2.糖尿病と肝機能障害、どちらも対策はまず減量だ

自覚症状がほとんどないのですが、今の自分が糖尿病(2型)と非アルコール性脂肪性肝炎であるとすれば、これを治すためにはどうすればよいのかを決めなければなりません。

お医者さんからは「できるだけ早く専門医に見てもらいなさい」と言われましたが、その前に自分にどのような治療が必要なのかについての予備知識を入れておきたかったのです。

お願い

私は医療従事者ではありませんので、この記事は一患者の個人的な体験談としてお読みいただければ幸いです。

糖尿病はどうすれば良い?

糖尿病の治療法について調べてみてわかったことは、その主なものは① 食事療法と運動療法② 薬剤による治療③ インスリン注射による治療の3つであることがわかりました。まず①をやってみて効果がないようならば②、続いて③に進むというものらしいです。

となるとまず自分だけでできることは①の食事療法と運動療法です。これについてさらに調べてみることにしました。

ネットではたくさんの方が糖尿病治療についての情報を挙げてくださっているようです。多くのサイトでの情報の元になっているのは日本糖尿病学会による「糖尿病診療ガイドライン 」というものであることがわかりました。

ネットでも読むことができるので一通り目を通してみたのですが、なるほどこれは専門家向けであるので私のような門外漢にはわかりにくいものでした。だからたくさんの方がこれをわかりやすく解説してくれているということですね。

糖尿病診療ガイドライン 2019」の要点;栄養素のバランスの目安は、健常人の平均摂取量に基づいて勘案してよい。日本人の食事 摂取基準 2020 年版では、成人の基準として炭水化物 50~60%エネルギー、タンパク質 13 ~20%エネルギー、脂質 20~30%エネルギー(飽和脂肪酸 7%以下)としている。 」

ガイドラインにははっきり書かれていませんでしたが、他のサイトの情報によるとこの比率で摂取エネルギーを成人男性なら 1600 kcal くらいにするということです。私は普通なら2500 kcal くらい食べているので、かなり厳しいダイエットをしなければならないということですね。これはお腹がすくでしょう。

ただしこの指標には問題点も指摘されているようで、「血液中のブドウ糖の濃度が高いのが問題であるのに、エネルギーの50~60%を炭水化物(デンプンや糖類を含む)から摂るのでは効果がないのではないか」という意見がネットでもよく見られます。そのような意見の人たちはは炭水化物を減らした糖質制限食を勧めているいうことですね。

私の場合はすい臓のインスリン生産量が減ったのが原因なのか、肥満によってインスリンの効きが悪くなっているのかがよくわからないのですが、いずれにしても治療の目的は「血糖値が基準値以上にならないようにコントロールすること」だということはわかりました。そのためには減量が必要で、コントロールされた状態を保てれば合併症が起こることもなくなるのだそうです。

肝臓はどうすれば良い?

もう一つの問題である「非アルコール性脂肪性肝炎」についてはどうすればよいのでしょうか。ネットでいろいろ調べてみると、ひとつわかりやすい資料が見つかりました。

筑波大学病院の東端先生によるスライド「NAFLD:NASH治療の現在」では、「減量はNAFLD(非アルコール性肝障害)/NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)において、効果的かつ安全であり、十分なエビデンスのある唯一の治療法である。」と明記されています。

「唯一の」ということは、それ以外の薬による治療は効果がそれほどではないということなのでしょうか。その他のサイトを見ても、「減量」こそがまず行われるべき治療であることがわかりました(ただし無理な減量には逆効果があるとのこと)。

体重を減らすだけで本当に非アルコール性脂肪性肝炎が治るのでしょうか? そこでこのお話のもとになっている研究論文をあたってみました。

2015年に発表された論文「生活習慣の改善による減量は、非アルコール性肝炎の特徴を大幅に減少させる」では、キューバで行われた293人の非アルコール性肝炎の患者について、52週間にわたってカロリーを減らした食事療法を行なった研究の結果について報告しています。

その結果は、「体重の10%以上を減量した患者の全員が肝炎の症状が良くなっており、その9割で非アルコール性肝炎が治っていた」というものでした。(Vilar-Gomez et al. 2015. Weight loss results in significant improvements in quality of life for patients with nonalcoholic fatty liver disease. Gastroenterology 149: 367–378)

その結論が「体重を10%減らせば、非アルコール性肝炎が必ず完治するというわけではなくとも良くなる可能性が高い」であるということがわかりました。

体重計

どちらもできることはまず「減量」でした

つまり、糖尿病についても非アルコール性脂肪性肝炎についても、最も効果的であるのは「減量」である、ということがわかりました。とくに糖尿病では、血糖値を下げることを考えた減量が必要です。

「ではどうやって減量するのがよいか?」が次の問題です。

(この記事の表紙の写真:オランダ・レリシュタットでの昼食)